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返礼で交流 過疎化対策、寄付者の再訪狙う

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 ふるさと納税の特典として、寄付者を地元のイベントに招く自治体が増えている。住民との交流を通じて寄付者に再訪を考えてもらう狙いで、過疎化対策に位置づける地域も出てきた。ふるさと納税は自治体間の返礼品競争が問題化した経緯があり、専門家は「長い目で見た地域振興策として注目される」としている。【大森治幸】

 

 2008年度導入のふるさと納税は、納税者が希望の自治体に寄付すると、2000円を超えた額が年収などに応じて限度額まで控除される仕組み。寄付を呼び込もうとする自治体間競争が過熱し、総務省は16年、換金しやすい商品券や家電製品などを返礼品としないよう要請している。

 

 福井県坂井市も寄付者に越前がになどを贈ってきたが、返礼品競争のあおりで16年度は393万円(41件)と苦戦。寄付者から「坂井がどんな街か知りたいので一度行きたい」との声もあり、市内で毎年5月19~21日にある神事で、「北陸三大祭り」の一つとされる「三国祭」に参加してもらうことを決めた。

 

 三国祭は住民らが高さ約6・5メートルの武者人形で飾った曳山(ひきやま)を引き回す「山車(やま)巡行」を呼び物に、期間中は約15万人が訪れる。市がふるさと納税の特典として2月から参加を呼びかけたのはこの山車巡行で、旅費を自己負担としたものの、定員10人に対して先月末時点で県外在住の8人から応募があった。参加を機に住民と交流し、リピーターになってもらう狙いで、市の担当者も「坂井ファンを増やすチャンス」と話す。

 

 人口減が深刻な地方は参加型のイベントを特典に、過疎化解消を図る目的もある。過去10年で人口が6%減り、5000人を切った北海道上士幌町では首都圏などに住む寄付者に移住を促そうと、町を訪れてもらう企画を始めた。

 

 14~16年度は寄付者向けに東京で特産品の試食会などを開いていたが、17年度に現地で農作業などを体験できるイベントに改めた。住民との交流で移住を検討する寄付者もいるといい、町の担当者は「ふるさと納税を切り札ににぎわいを取り戻したい」と意気込む。

 

 現地での参加型イベントで地域に愛着を持ってもらう試みは、山梨県富士吉田市や三重県南部の玉城町など13市町も伝統産業などを訪ねるツアーを実施。その地方に関心がある人を意味する「関係人口」を増やす狙いもあり、総務省はふるさと納税を通じ、寄付者に伝統行事や地域活動の担い手になってもらうことを期待している。

 

 ふるさと納税に詳しい神戸大大学院の保田隆明准教授(経営学)は「関係人口の増加などを目指して寄付者と中長期的な関係を築こうと考える自治体は多く、問題意識の高い地域は既に対応を始めている。伝統行事に注目した坂井市の試みはその好例と言える」としている。

 

引用元:https://mainichi.jp/articles/20180423/k00/00e/040/182000c

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